ヒップホップの革新者!?新時代のポップスター!?〜改めて知る、Lil Yachtyは何が特別なのか

  • 2017.05.21 Sunday
  • 16:19

 

その一挙手一投足で常にインターネットに話題を提供するラッパーといえば、ある時期までそれはDrakeだっただろう。彼の交際関係は然る事ながら、Meek Millとのビーフや、インターネット・ミームとなった「Hotline Bling」でのへなちょこダンス、音楽面でもジャマイカのダンスホールやロンドンのグライムへの接近...。特に2015年は彼の名前を聴かずに一週間が終わることは、いや一日が終わることは無かった。

 

ただ、そのDraek以外を見てみれば、同じ頃からアメリカのポップ・ミュージック・シーンにおけるホットスポットは紛れもなく多くの新鋭ラッパーが登場していたアトランタのヒップホップ・シーンだった。ここ3,4年ほどの間で名を上げたアーティストを挙げていけば、ラッパーにはFuture、ILoveMakonnen、Rae Sremmurd、Migos、Young Thug、Silento、21 Savage...。プロデューサーにはMetro Boomin、Mike Will Made-It、Southside、Sunny Digital、London on da Truckなどがいる。そもそもアトランタという土地はLAリードがラフェイス・レコードのオフィスを置いた89年以降、TLC、Timbaland & Missy Elliottのペア、Outkast、T.I.らの存在が示すように常にモダンなヒップホップやR&Bの中心地の一つであったが、ここ3年ほどで更に勢力を強めた。先述のとおり沢山の活きのいいアーティストの名前が浮かぶが、ミックステープ『Lil Boat』をリリースした2016年2月以降、頭一つ抜けて多くの話題を提供しているアーティストがLil Yachtyだ。

 

ほぼ無名の状況でスタートした2016年、1月にはApple Music中のラジオ局Beats1でDrakeが持つ番組「OVO Sound Radio」で「Minnesota」がプレイされ、2月にはKanye WestのYeezy Season 3のファッション・ショーにモデルで出演、5月にはChance The Rapperのアルバム『Coloring Book』収録のYoung Thugとの「Mixtape」で客演、6月にはアメリカの若手ラッパーの登竜門的なXXL MagazineのFreshman Classリストに選出、遂にメジャー・レーベルのCapitol Recordsと契約するなどLil Yachtyの名前はヒップホップ・シーンで急上昇した。

 

そして4月にリリースしていたD.R.A.M.とのコラボ、「Broccoli」が9月にはビルボード・ホット100でトップ10入り、最高位5位を記録しいくつかの媒体の年間ベスト・ソングの上位にも名を連ねた。更に12月にリリースしたKyleとのコラボ「iSpy」も年が明けてから最高位4位まで上昇。Charli XCXやCarly Rae Jepsenらとのコラボも話題になるなどメインストリームでもおなじみの名前となり、その特徴的なヘアスタイルと合わせて新たな時代のポップ・スターとなることさえ予感させている。

 

その一方これまでのヒップホップの常識を打ち破る独特の音楽性や発言で一部から批判を喰らうことも少ない。そんな良くも(人によっては)悪くも新しい価値観を提供しながらスターに押しあがってきたLil Yachtyが遂にデビュー・アルバム『Teenage Emotions』をリリースする。この一年ちょっと、あまりに彼に関するニュースが多過ぎた。もちろんそれは良い意味で。ここで改めて彼のどこが革新的で、このアルバムによってLil Yachtyがどんなアーティストになっていくことが期待できるのか、述べてみたいと思う。

 

1. ヒップホップの常識を変えるLil Yachty

 

●音楽性

 

Lil Yachtyは何よりその独特のフロウが衝撃的だった。どこか不安定な心地のビートにきらきらしたシンセのメロが耳を惹くトラック、ラップというよりは、高い声でメロをなぞっていくような可愛らしいフロウ。それを反映するように、リリックも「ストリート」、「ドラッグ」とか「ハード」といった類の言葉を全く連想させないし、子供の欲望がそのまま言葉に落とし込まれたようなものだ。

 

 

そのトラップ由来のゆるいビート自体は、冒頭で名前を挙げた同郷のラッパーたちとも繋がるし、特に2014年に「Tuesday」でDrakeにフックアップされたILoveMakonnenはよく引き合いに出される。ここ数年の特にアトランタから出てくる若手ラッパーのリリックは、その”意味の無さ”から「ポスト・テキスト・ラップ」と呼ばれているが、Lil Yachtyも彼らと同じ枠に括ることが出来るだろう。だた、人気アニメ、RugratsCharlie Brownのテーマ・ソングでラップしている彼の世界観は、日本でも”幼児退行”と形容されポスト・テキスト・ラップのその先を行っている。

 

 

●ファッション・デザイン

Lil Yachtyが斬新だったのはその音楽性だけでない。彼の、ビーズを編み込んだ三つ編みヘアやミックステープなどのアートワークなど、彼とそのSaillingTeamが手掛けるファッションやデザインも特徴的だ。私にとって男性中心的なヒップホップを象徴する色といえば黒なのだが、Lil Yachtyは常にカラフルだから新鮮だ。独特なセンスを持つ彼のファッションは音楽シーン以外も惹きつけている

 

 

三つ編みヘアと歯のグリルがインパクト大なLil Yachty

 

ミックステープ『Lil Boat』のカバーアート

 

「All In」のMVでSailing Teamのマーチャンダイズを纏ったヨッティとクルー・メンバーたち

 

Kanye WestのYeezy Season 3への参加以外にも、アパレル・ブランド、ノーティカのクリエイティブ・ディレクターに就任したり、PUMAとラッパーのYoung Lによるブランド、Pink Dolphinがコラボしたラインのモデルに選ばれるなどファッションから界もラブコールが止まない。

 

●スタンス アーティスト性

ヒップホップの常識を覆すようなラップのフロウやリリック、そしてファッションにおける斬新さの裏には、Lil Yachtyならではの独特のアーティスト性やスタンスがある。

 

まずブレイク作、『Lil Boat』のタイトルは彼のニックネームそのものだが、アーティスト名のYachty、自身がクリエイティブ・ディレクターも務めたNAUTICAのブランド名がラテン語で「船」を意味するNAUTICASからきていることなど、一貫して船、ヨット、ボートなどへの愛を示している。これはリリックやファッションのファンタジー感とも共通するだろう。

 

Lil Yachtyが出演したNauticaのキャンペーン・ビデオ

 

また、ヨッティはこれまで「シリアスなラップは嫌い」や「2 PacとNotorious B.I.Gの曲は5曲も知らない」といった発言が大きな反響を呼び、特に古くからの保守的なヒップホップ・ファンの怒りを買ったり、ルーツに忠実な音楽家、Anderson .Paakから批判のコメントを受けるなどその物議を醸すような言動でも話題を提供してきた。だがそういった反応に対しても、「どこかにヒップホップの教科書があって、そこには『曲を作るために知らないと恥ずかしい曲リスト』が載ってるのかな 笑」とツイートして応答するなどあくまで楽観的だ。先述の発言自体は賛否両論あるだろうが、ここまで潔くポジティブな彼のスタンスも新時代的で、興味深いものだった。

 

また彼は一切酒やドラッグに手を出さないという。インタビューでは、「僕はクラブが嫌いなんだ。全く好きじゃない。酒も飲まないし、タバコも吸わない。だからクラブは落ち着かないんだ。退屈だよ。ずっとじろじろ見られるしね。」と答えている。どうりでリリックにこれらのテーマが出てこないわけだが、昨今のアトランタを中心としたトラップのビートに乗せたラップにはダンス・ミュージックとしての快楽も大いに感じていただけに「クラブが嫌い」という発言からは彼が如何に周囲の同郷のラッパーとも異なっているかが受け取れた。他にも「ピザしか食べない」、「野菜を食べたことが無い」など彼からの様々な驚きの発言に楽しませてもらった。

 

彼の音楽やファッションの個性は全てこうした独特なスタンスと共にあり、彼はその自分らしさを表現することに一切臆しない。

 

音楽性、ファッション、そしてそのスタンスなど全ての面で彼はヒップホップの常識を覆している。

 

 

2. 歴史から学ぶLil Yachtyの革新の重要性

 

確かにLil Yachtyのスタイルはこれまでのヒップホップのルールを破り、悪くいえばルーツを軽視していることになる。ただ、これまでもヒップホップの新しい主流を築いてきたのはそうした常識を覆す革新性を持ち込んだアーティストだった。

 

この項目については併せてFNMNLのこの記事と、それが基にしているComplexのコラムも読んでいただきたい。

 

例えばアルバムごとにヒップホップ以外のジャンルを飲み込んでいく音楽的変貌で常にジャンルを超えて賞賛され続けているKanye Westは、2008年の『808’s and Heartbreak』で多くの人にとってのヒップホップへのイメージを180度変えた。このアルバムで彼は母の死や恋人との別れを受け、それまでロックの領域だった「憂鬱」をテーマにラップを辞めオートチューンによって加工された声で歌うことに注力した。(そしてドラムマシンの名機TR-808を重用したビートは徹底的にミニマムだった。)彼のこの試みが無ければ、(この直ぐ後に登場した)儚げに女性への愛を優しく、そして女々しく歌うDrakeがここまでトップ・スターになることは無かっただろうし、最近のTravis Scottや21 Savageのダークさもそう簡単には受容され難かったはずだ。そんな『808’s and Heartbreak』も発売当初はいまのヨッティの立場と同じくネガティヴな評価も多かったのだ。

 

また、2010年頃より名を上げたクルー、Odd Future (Odd Future Wolf Gang Kill Them All)もゴキブリを食べるMVがついつい印象に残ってしまうTyler, The Creatorのような好き放題加減や、同性愛がタブーだったと言って過言でないヒップホップ、R&B・シーンでそれぞれゲイ、レズビアンであることをカムアウトしたFrank Ocean、Sydなど新しい価値観を提示した。

 

さらに、現在主流となっているFutureやYoung Thug、Migosらのアドリブやオートチューンの使い方も5年くらい前までは、その奇声の発し方やロボ声の使い方・目的などは全く異なっていたはずだ。

 

こうしたそれまでのヒップホップの常識を覆すような斬新なアイディアや試みがその度に議論を呼びながら結果的にジャンルの表現の幅を拡大してきた。Lil Yachtyもここで名前を挙げた面々と同様に新しい価値観を提示することでヒップホップを進化・前進させているといえるはずだ。こちらのインタビューでの発言のように、彼がTyler, The Creatorから大きく影響を受けているのも納得だ。

 

 

3. 既に支持を得ている

 

そんな常識破りのアーティストであるLil Yachtyが時に批判も浴びながらも既に多くの大衆の支持を得ていることは重要な事実だ。それは彼のスタイルを肯定する大きなファクターとなる。

 

まずD.R.A.M.との「Brocolli」、Kyleとの「iSpy」はビルボード・ホット100のトップ10入りを果たしているが、この2曲で彼らは自分たちのスタイルそのままにその成功を成し遂げた。いまや彼らのルーズでファンタジーのような世界観がメインストリームの一つになりつつあるということだ。

 

 

また昨年10月にはChrali XCXと、今年2月にはCarly Rae Jepsenとのコラボ・シングルを発表した。前者はPCミュージックの尖ったベース・サウンドも取り入れるなど常にエッジーなポップ・シンガーであり、また後者もDev Hynesらと共演しながら80sライクな上質なポップ・ソングを歌う。両者に共通するのはポップとインディの境界を巧みに切り開くことで、広い磁場で支持されているということ。

 

 

 

例えば同じメインストリームのシンガーといっても、コレが彼と近いR&Bシーンのシンガー、最近の客演ヒットで例えるならAlessia Caraであったり、少し前まではその支持層がキッズかティーンに限定されていたSelena Gomezだったりしたら曲に対してまた違ったイメージを持っていただろう。ヒップホップ的とはいえないファッションやデザインを標榜するヨッティがポップやインディといったリスナー層を取り込めるシンガーと組むこと自体は自然なことだが、意図してこの2人との共演を選んだのなら戦略的だ。

 

さらにはヨッティのSailing Teamのメンバーであり、女性版Lil Yachtyと言いたくなるようなKodie Shane、ヨッティのスタイルを「ゆるふわ」と解釈した日本のRyugo IshidaとSophieによるユニット、ゆるふわギャングなど、彼のスタイルが模倣された若手が台頭していることも忘れちゃいけない。

 

 

 

4. デビュー・アルバム『Teenage Emotions』が遂にドロップ!

 

●彼のスタイルを象徴する先行曲と客演陣

 

そんなあらゆる面で注目が集まる中先日ついにリリースされたデビュー・アルバム『Teenage Emotions』はここまで述べてきた彼のこれまでの革新性や独自のスタンスを象徴するような作品になっている。先行公開された曲はシングル「Bad And Boujee」とアルバム『Culture』が共にチャート1位の大ヒットを記録したいまノリに乗っているラップ・グループ、Migosをフィーチャーした、ヨッティといよりはMigosらしいハードかつダークな「Peek A Boo」、80年代のエレポップ調「Bring It Back」、ヨッティらしいゆるふわビートxバカなリリックの「Harley」など、 “普段のヨッティ” もあればそれに対しての左へ右への振れ幅も非常に広い、まさに彼らしい柔軟な選曲となった。

 

また、幅が広いのは楽曲だけでない。客演しているアーティストも、先述のMigosやYG、Kamaiyah、Stefflon Donといった若手ラッパーから、プロデューサーとしてもMajor Lazerとしてもお馴染みDiplo、更にはK-Popスターである元2NE1のラッパー、CLと楽曲同様にカラフルなセレクトだ。

 

 

 

●アルバム・タイトルが意味するもの

また、アルバム・タイトル『Teenage Emotion』のきっかけになったともいえるこのインタビューでの発言は、ヨッティのスタンスをよく表している。

 

「僕はティーンエージャーのために作ってる。誰かと付き合っていたり、別れたばかりだったり、それか、幸せで満足してるティーンエージャー。物語りのスタイルが好きなら、それもクールだけど、僕のはだいたいティーンエージャーの感情がテーマなんだ」

 

ティーンといえば人生の中で最初に自分らしさに気づく時期。アートワークにはLil Yachtyの周りにキスをするゲイのカップル、太った女性、ホワイトにブラック、あらゆるカラーを持った人たちが映されている。自由な発想を土台に、自分らしさを音楽やファッションで表現する。それがLil Yachtyであり、ティーンにとってのロールモデルにもなり得る新たなポップ・スターなのだ。

 

 

Lil Yachty - 『Teenage Emotions』Track List

Release: 2017.05.26

Label: Quality Control / Capitol Records

 

1. “Like a Star”
2. “DN Freestyle”
3. “Peek A Boo” Feat. Migos
4. “Dirty Mouth”
5. “Harley”
6. “All Around Me” Feat. YG & Kamaiyah
7. “Say My Name”
8. “All You Had to Say”
9. “Better” Feat. Stefflon Don
10. “Forever Young” Feat. Diplo
11. “Lady in Yellow”
12. “Moments in Time”
13. “Otha Shit” (Interlude)
14. “XMen” Feat. Evander Griim
15. “Bring It Back”
16. “Running With the Ghost” Feat. Grace
17. “FYI (I Know Now)”
18. “Priorities”
19. “No More”
20. “Made of Glass”
21. “Momma” (Outro) Feat. Sonyae Elise

Office Charts [Weekly Top 20] 2017, Week 18, Apr 30th

  • 2017.04.30 Sunday
  • 17:46

1. Mura Masa & Charli XCX / 1 Night 

LW (-), Peak (1), On Chart (-)

 

2. Superorganism / It's All Good

LW (NEW), Peak (2), On Chart (1)

 

3. hyukoh (혁오) / TOMBOY

LW (NEW), Peak (3), On Chart (1)

 

4. Future / Mask Off

LW (-), Peak (-), On Chart (-)

 

5. ZAYN / Still Got Time ft. PARTYNEXTDOOR

LW (-), Peak (-), On Chart (-)

 

 

6. Goldlink / Some Girl ft. Steve Lacy

LW (-), Peak (-), On Chart (-)

7.효린(HYOLYN) X 창모(CHANGMO) / BLUE MOON (Prod. GroovyRoom)

LW (-), Peak (-), On Chart (-)

8. Kendrick Lamar / DNA.

LW (-), Peak (-), On Chart (-)

9 .Cashmere Cat / 9 (After Coachella) Ft. M.O & Sophie

LW (-), Peak (-), On Chart (-)

10. Kojo Funds / Warning

LW (-), Peak (-), On Chart (-)

 

11. Lil Uzi Vert / XO Tour Llif3

12. Calvin Harris/ Heartstroke ft. Pharrell Williams, Young Thug, Ariana Grande

13. IU (아이유) / Palette ft. G-Dragon

14. Lethal Bizzle / I Win ft. Skepta

15. tofubeats / What You Got

 

16. Kenrcik Lamar / HUMBLE.

17. Murlo / Tired Of You

18. Rex Orange County / Untitled

19. Jorja Smith / Beautiful Little Fools

20. Frank Ocean / Lens

 

[Track Review] Superorganism / It's All Good

  • 2017.04.30 Sunday
  • 01:28

Frank Oceanにプレイされたことでも話題の

今年最も予想外で謎多き新人、Superorganismの新曲はこれまた超キャッチ―。

リピートせずにはいられない!

 

2017年最も予想外、そして謎が多いニューカマー、それがSuperorganismである。超個体を意味するバンド名からしてパンチがあるが、17歳の日本人、Oronoを中心とする8人組の集団は1月末に公開したデビュー・シングル「Something For Your M.I.N.D」でインターネットをざわつかせた。全くの無名のバンドのデビュー曲が、Apple Music内のラジオ局、Beats1でFrank Oceanにプレイされたのだ。その中毒性溢れるミステリアスなポップ・ソングは多くのリスナーを夢中にさせ、彼女たちの奇妙なバンド名は一瞬で知れ渡ることとなった。そんなSuperorganismが新たな楽曲、「It’s All Good」を公開した。デビュー曲同様にハイパー・ポップで、”喜び”、”幸せ”、”楽しさ”といったフィーリングでいっぱい。そして何より何度もリプレイしたくなる一曲だ。

 

*「Something For Your M.I.N.D」は楽曲中のサンプルの著作権の問題で揉めたためかストリーミング・サービスからは消えている。こちらの非公式なYouTubeのポストでのみ聴くことが出来る。

 

 

今回もゆったりとしたビートに、骨太なベース・ライン、たくさんのボイス・サンプルが散りばめられ、それらが加工され、そして印象的なポーズがありと、試行錯誤の末の巧みな構成の楽曲だ。そして韓国語への言い換えも含んだ掛け合いによるサビも最高にキャッチ―でアンセミック。サイケデリックなポップ・ソングとしてはGrouploveや初期のMGMTを思い出させるが(本人たちはThe Flaming LipsDEVOの影響を挙げている)、リズム感、サンプルの処理の仕方はヒップホップやR&Bも経由している。

 

やはり何より興味を惹くのはリリックからも読み取れるポジティブなムードだ。オロノへ「おはよう、目が覚めたね。外の天気は暗い。起きるかい?それともひょっとして何もしない?」と語りかけるところから始まり、その後も「私はまだ17歳。まだ夢の途中なの」を初め終始前向きなメッセージで溢れている。更にサビ後に挿入された自己啓発作家、Tony Robbinsのスピーチのサンプルがダメ押しする。

 

彼女たちについては兎に角謎が多いがどうやら8人のメンバーのうち日本人のOronoのみアメリカ北東部ニューイングランドのメイン州に在住し、他の7人はロンドンに住んでいるらしい。インターネットで常にやり取りをしているのだろうが、トラックメイカーやラッパーといった類では無いので、結成の経緯から楽曲制作のプロセスまでとても気になるところだ。全くアーティスト写真のようなものは出回っていないが、興味がある人はOronoのsoundcloudInstagramのアカウントを覗いてみるといいだろう。彼女自身によるWeezerやPavemenetのカヴァー、彼女が描いた才能溢れる絵画を拝見できる。

 

またOronoが以前Twitterでシェアしていた自作のSpotifyのプレイリストからはSuperorganismの音楽性の影響源と言われても納得なアーティストが並んでいる。The BeatlesやBeach Boysといった60年代〜Carol KingやBilly Joelといった70年代の大御所から、より現代のTobias Jesso Jr.、Carly Rae Jepsenといったポップ、The Beta BandやtUnE-yArDsのようなサイケデリック、バンド・サウンドとして影響を与えているであろうCocteau Twins、Frankie Cosmos、The Moldy Peaches、更に軽快なビート感が彼女たちと重なるSolangeやNo Nameのようなヒップホップ・R&Bまでかなり幅広いセレクトだ。バンド中で彼女が果たしている役割はとても大きそうな感じがする。

 

うーん、It’s All Good!

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