Parquet Courts 「Sunbathing Animal」

  • 2014.07.08 Tuesday
  • 01:30
Parquet Courts 「Sunbathing Animal」
8.5 / 10.0

    

 2012年後半にリリースしたセカンド・アルバム(正式リリースとしては1枚目)が、インディ界隈のみならず、徐々に名の知れたメディアでも取り上げられるようになり、ブルックリン・インディーシーンの中で一躍注目の存在となったパーケイ・コーツ。(ちなみに合計11のメディアの年間ベストにリスト入りし、The Flyの1位のほか、Rolling Stoneでも11位に入る大健闘であった。)その流れで世界中をツアー、昨年行われたセッションを元にレコーディングされたのが、本作「Sunbathing Animal」だ。
 
 フロントマンのアンドリュー・サヴェージは、このバンドを結成する以前はFergus & Geronimoという、ポップでありながらも実験性の高いバンドを率いていた。テキサスからブルックリンに場所を移し、ジュリアンやカレン以来のギターバンドの星になりつつあるのが彼らだ。本作は傑作であった「Light Up Gold」で見せていた、テレヴィジョンを思わせるギター、それから、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドなど彼らのルーツが表れている点では変わりはないが、前作よりもよりタイトで、まとまりのある音になっている。(加えて、「She’s Rolling」や、「Instant Disassembly」のような6分超のジャムナンバーが、アルバム全体を15分ほど前作より長くさせている。)そんなつもりは本人たちには一切ないだろうがバンドとしての成長や、音の雰囲気に大物感が出てきた。
 
 相変わらず、彼らがジャカジャカと弾くギターからはツーコードやスリーコードくらいのシンプルな構成しか出てこない。リフやフレーズのシンプルさもわかりやすく表現するとストロークスを思い出させる感じなのだが、ストロークス同様しっかりタイト。そして一貫してチープであり、ダサい雰囲気さえ感じる。見た目まで文系のナヨナヨした面なのに、サウンドも相変わらずいい意味で気怠く、抜けている。アルバム本編からわかりやすく抜き取れば、オープニングとなる「Bodies Made of」はダウンテンポで、例えるならストロークスの「Is This It」のような感じ。そこから突破口を放つようにして、「Black and White」は疾走感あるテンポで、超シンプルなコードストロークを延々と続けていく。そのままこれが続けばロックキッズが部屋で暴れながら聴く姿でも想像できようが、次のトラックの「Dear Ramona」は再び超ダウンテンポで、フニャフニャ、ドラムも弱めだ。Cakeの「Short Skirt / Long Jacket」のような。
 

 こんな感じで、この後も気持ちのいいロックンロールを聴かせたり、力の抜けた曲を聴かせたりなのだが、これこそがこのバンドのよさであったりもする。そのいい意味での「緩急」にはしっかりと大衆性さえも感じる。少し大げさに言えば、あまりにも地味な野郎バンドばかりが登場しては、結局ピッチフォークを中心としたインディ・シーンのみでしか才能を認めてもらえないような現状であった最近数年。それに比べれば、見た目はダサいといえども、この、タイトなギターロックかつ「緩急」を上手く散りばめた作品は、「インディシーン」を超えて届きそうな雰囲気も感じられるし、多くのギターキッズに聴かれるべきだろう。2014年の上半期に現れたギターロック野郎の作品では一番輝いていたと思う。気持ちのいいギターロックでいえばクラウド・ナッシングスの「Here and Nowhere Else」もあったが、あの作品に見えるような、同タイプの曲を並べる一部のリスナーにとっての「不親切さ」(自分は気にならないし、潔くも感じられたが)も一つもない。(筆者はシンプルなギターロックが欲しいというわけではないが、地味に聴こえるような音楽をやるにしても、もっと「外に放ちたい」、という主張の強いバンドが出てきてほしいと思っている。)ブルックリンにとどまっていてはあまりにもったいない作品だ。他にこうした若いバンドが少ない事情もあるが、繰り返し言う。「世界中のギターキッズに聴かれるべき傑作だ。」サウンドへの新鮮さこそ感じられないかもしれないが、その範疇で最高の結果を出しているといえる。こうした作品がもう一歩大衆に届きやすい雰囲気が出ればいいのだが。
 
 

Little Green Cars 「Absolute Zero」

  • 2014.03.16 Sunday
  • 23:59
Little Green Cars 「Absolute Zero」
2013

9.0 / 10.0 

    

 アーケイド・ファイアの活躍以降と括るのも大袈裟かもしれないが、フォーキーで叙情的なサウンドを持つバンドが、いい意味で、よりメインストリームの場で目立つことが増えてきたように思える。マムフォード・アンド・サンズにしろ、オブ・モンスターズ・アンド・メンやルミニアーズにしろ、ここまで売れることが予想されただろうか。これらのバンドを一つの括りに入れたくなることもあるが、彼らは「パクリ」といわれることもなく、それぞれに評価され、人気を得てきた。それはきっと、単にそれぞれの作品がよかったためであろう。今回ここでとりあげるアイルランド出身の新人バンドLittle Green Cars(リトル・グリーン・カーズ)もその一つのバンドである。
 出身がアメリカでもイギリスでもないためか、その活躍が日本の洋楽シーンではあまり取り上げられてない印象だが、本国アイルランドではこのデビューアルバムは3月にリリースされアルバムチャートで1位を記録し、現在もロングヒットを続けている。そのアルバムが今月、BBC Sound of …でも彼らを選出した隣国、UKでもリリースとなるのだ。
彼らのサウンドは、前述のとおりのアーケイド・ファイアや、フリート・フォクシーズを連想させるような、時にフォーク調だったり、ドラマチックであったり。更にスティービーとフェイからなる男女ツインボーカル(こちらも前述のオブ・モンスターズ・アンド・メンを連想させる)によるメロディはとてもきれい。筆者がこのバンドと出会ったきっかけとなった一曲目のHarper Leeは、アルバムの中でもメロディとコーラスワーク特に見事で、一度聴いて以来耳から離れなかった。シングルカットされている三曲目のMy Love Took Me Down To The River To Silence Meはよりエモーショナルに演奏されている。アルバム中盤は、落ち着いた雰囲気の曲も挟みながら進んでいくが、八曲目のラブソング、The John Wayneでこのアルバムのハイライトを迎える。この曲では序盤ゆっくりだったテンポが中盤から上がっていくのだが、その展開の仕方がなんともドラマチックだ。コールドプレイのFix Youやアーケイド・ファイアのWake Upを思い出すほどに見事な名曲だと思う。十曲目のコーラスワークのきれいなThem、ラストのバンジョーも取り入れたGoodbye Blue Mondayなど終盤に向けての流れもよく出来ている。

 なにしろアルバムのプロデュースを務めたのは、前述したアーケイド・ファイアやマムフォード・アンド・サンズ、更にコールドプレイを担当したことのあるマーカス・デイビスであり、これらのバンドたちが好きな人には是非一度聴いてみてほしい作品だ。ニール・ヤングやジェイク・バグのサポートをこなし、アメリカなどでも精力的にライブをしている彼らだけに、注目度は今後世界的なものになっていくだろう。


 

Drenge 「Drenge」

  • 2014.02.16 Sunday
  • 23:03
Drenge 「Drenge」
Hostess Entertainment / 2013


9.0 / 10.0
    


 UKシェフィールドに近い田舎町から現れた兄弟による、ギター・ボーカルとドラムの2人組ドレンジのサウンドは「NirvanaミーツQueens Of The Stone Age」と形容したくなるようなものだ。彼らの曲をいざ一聴してみると、ブラック・キーズを連想する人もいるかもしれない。自分もその一人であった。だが、真似事をしているような、そんな甘いバンドではないのは、アルバムフルの曲と、ライブパフォーマンスで証明される。活況を取り戻しつつある雰囲気を持つ昨今のUKインディ・ロックシーンで、ギターロックで、リフを持っていて、演奏も迫力あるとなれば、希望を持つことが出来るだろう。このデンマーク語で‘男’を意味する‘Drenge’のアルバムは既にドロップされているが、結果的にはチャートでは好成績は出すことが出来なかった。しかし、その意味通り男臭さが最高であり、君を裏切りはしない、今後も大いに注目だ。
 最初にNirvanaを引き合いに出したが、そこにはブラック・キーズのような2人組が持っていないような、速いBPMによるスリリングなサウンドが挙げられる。手数の多めなドラムに、ぴったり息を合わせたギターリフが秀逸だ。その例として挙げるのならばリード・シングルの「Bloodsports」の後半部分だ。さらにそのギターは切り裂くようにキレがいい。彼らの曲「Face Like A Skull」はNirvanaの「About A Girl」や「Breed」の持つ迫力を連想させる。そして、全体に響き渡るQOSTAのような倍音の厚いギターはストーナーロックに近いものさえ思わせる。9曲の勢いあるガレージ・パンクが終わった後は、BPMを落とし、歌もしっかり聴かせる最終章の3曲だ。「Let’s Pretend」は8分超のバラードで、続くラストの「Fuckabout」はギターのトーンも落とし、「恋に陥った人々は僕をただうんざりさせ、参らせるよ」とエモーショナルに溜息づく。アルバム全体から浮かび上がる彼らの、退屈な田舎暮らしから来る怒りやフラストレーション、それを余りなく注ぎ込んだ作品なのだろう。
 
 結果、この2人組ドレンジのアルバムは、これまでのロックデュオとは違った、彼ら自身の魅力をしっかりと示した。他にもDeep Valleyや‘BBC Sound of’にも選出されたRoyal Bloodなどが若手2人組ロックデュオとして挙げられるが、彼らはそれぞれ違った個性をしっかりと映し出している。Drengeを含めた昨今のロックデュオの持つ‘ホープ’は、2人組のもつ可能性を拡げ、リスナーに示しているのではないか。もはや、君がジャック・ホワイトでなくとも、もう一人の友達さえいれば、人々を熱くさせるビートは打ち出せるのだ。
 

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