『女子が憧れるインディアイコン』になりつつある?〜10年代インディシーンを盛り上げる女性アーティスト10組〜【2】

  • 2014.08.22 Friday
  • 15:22
 前回の【1】に続いて、今回も10代・20代の女子の憧れの存在になりつつある新たな「インディアイコン」である女性たちをリストアップしていきたいと思います。
 まえがきと前回の5組、10位から6位はこちらからどうぞ。

 
 2回目の今回は5位から1位です。

『女子が憧れるインディアイコン』になりつつある?
〜10年代インディシーンを盛り上げる女性アーティスト10組〜【2】


5. Hayley Williams【ヘイリー・ウィリアムス】(Paramore)




 えっ?この人このリストに入れるの?って思った方もいるはず。ただもうこの人というか、このバンドの人気、功績は無視できないほどのものになっていると思います。それを決定的にしたのが今年のレディング&リーズ・フェスティバルへのヘッドライナー抜擢。Queens Of The Stone Ageとのダブルヘッドライナー、他の大物バンドの動きが少なかったこともありますが、十分過ぎることでしょう。
 このポップなメロディから、ポップパンクやエモと分類したくなりますが、その作品の質そのものも実はしっかり認められており、Metacriticでは前作『Brand New Eyes』は73点とまずまずの高得点、最新作『Paramore』は81点という十分すぎる高得点を獲得。全米全英1位と世界中でよく売れていることともしっかり見合った評価を獲得しており、「売上・評価どちらでも認められている」バンドなのだ。そのバンドの中心人物のヘイリーは、ここ日本ではそうでもないものの、欧米では何度もティーン雑誌の表紙を飾ったりと、ティーンエイジャーにとっての憧れの存在でもあるのだ。アブリル・ラヴィーンが完全にダメになってしまった昨今、彼女がぐんぐんティーンへの影響力を上げていることは言うまでもないだろう。

        


4. Lorde 【ロード】



 先日のフジロックと単独公演でのライブもかなり評判の高い若干17歳のヒロイン。私もフジロックで拝見しましたが圧巻でした。彼女が登場するとそれだけで悲鳴が止まらないのだが、パフォーマンス中も、「彼女が髪を振れば」、「彼女が一言話せば」……とその度にまた悲鳴は鳴りやまない。もちろんその理由は彼女がステージ上で放つオーラにあるのだ。もちろん、それはとても17歳とは思えない。
 彼女の功績は、全米チャート9週連続1位を獲ったこと、グラミーでも主要部門を受賞したことだけでも十分だが、真の功績は音楽界全体の雰囲気を変えようとしているところにあるだろう。セリーナ・ゴメスやカーリー・レイ・ジェプセンなどティーンの憧れの存在である女性たちもが夢中になることで、もはやアメリカの女の子すべてを味方にしたような感じ。まとめるなら、EDMやアイドルポップに飽き飽きし始めた若い女子たちの虜となることで、アデル、ラナ・デル・レイやフローレンスが築いた若者の中での「アダルト」、もしくは「オルタナ」の支持層を更に広げることに成功したといえる。彼女はまだ一枚しかアルバムを出していないが、他の誰よりもメインストリームで成功し、多くの人のハートを掴んだことを考えればこの順位も妥当だろう。

    

3. St. Vincent 【セイント・ヴィンセント】



 本名はアニー・クラーク。ここ日本でも先日FUJI ROCK FESTIVALで圧巻のパフォーマンスを披露し、多くの人がベストアクトの一つに挙げた1982年生まれの31歳だ。バークリー音楽院に通ったこともある彼女の音楽歴は12歳からスタート。ライブでお馴染みのあのギターテクニックは、ギタリストである叔父から教えてもらったものだという。ファーストアルバム『Marry Me』から批評メディアでは高得点を叩きだしていたし、アーケイド・ファイア、グリズリー・ベアーなどがファンを公言するなど評判は良かったのだが、彼女の地位が決定的になり始めたのは、2011年の前作『Strange Mercy』辺りからだろう。もともと持っていたアートさに、ギターリフが印象的なシングル「Cruel」を始めとしたポップさが加わり、全米チャートでも19位にまで前進。数多くのメディアの年間ベストのリストの上位を総なめした。この後、デヴィッド・バーンとの共演作『Love This Giant』もリリース。その『Love This Giant』を経てより多層的なリズム隊が加わった、今年出したセルフタイトルの新作は、現時点で他のどのアルバムも抑えて今年一番の評価を得ている作品だ。ファズのような歪んだ音を出し、ライトハンド奏法なども披露する彼女のギターパフォーマンスからは、演奏・パフォーマンスへの貪欲さも伺える気がする。
 独特の世界観を放つミュージック・ビデオや、振り付け、時にダイブをし、叫び狂う(かと思えば落ち着いてMCで語りかけたりする)ライブパフォーマンスには、十分に彼女の個性、「見せ方」の上手さが伺える。今夏のフェスサーキットでも大活躍中、並べてアメリカでのテレビパフォーマンスもかなり評判が良く彼女が確固たる地位を築き上げ切れていることは言うまでもない。

    


2. Lana Del Rey 【ラナ・デル・レイ】



 「ポップスター」、または「アイコン」という意味では、この企画でピックアップした10組の中で一番の存在であろう人が、この女性だ。ファッション、ステージ上でのオーラの出し方全てにおいてその素質を持っていると感じられる。デビューアルバム『Born To Die』は350万枚以上を世界で売上、欧米では女子を中心に圧倒的支持を集めるラナ・デル・レイこと、本名エリザベス・ウールリッジ・グラント。その世界的に大ヒットとなったデビューアルバムでさえも批評家の点数を見てみれば、Metacriticでは61点と決して高くはない。それどころか、これは厳しめの数字といえるだろう。しかし、その点数をじっくり眺めてみればその幅も、100点満点や90点から40点や25点までととても広く、彼女を絶賛するライターもいれば、とことん叩くライターまで様々だということがわかる。今年発表された最新作『Ultraviolence』でもThe 405が「Ultraboring, Ultrabland, Blandboring, Minimamboring」と題した10点中3点のレビューを書いたことも印象に残っている。もう一つ挙げるなら、最近では「もう死んでいたらよかったと思う」とThe Guardianのインタビューで語ったことが物議を醸してしまうこともあったが(後から彼女は「そんなこと言うつもりはなかったわ」と言っていますが)、しかし、こうして敵をも作ってしまうところこそがスターの証ではないだろうか。ここ半年ほど彼女のニュースを音楽メディアから聞かなかった週はないだろう。彼女こそが正真正銘の「女子の憧れるアーティスト」の一人だ。日本でも、洋楽好きなティーンエイジャーの女の子に対して、アイドル以外の入り口として、もっともっと彼女のようなわかりやすいスターをアピールしてほしい。
 
    


1. Florence Welch 【フローレンス・ウェルチ】(Florence & the Machine)


 
 ロンドン出身のバンド、フローレンス&ザ・マシーンのボーカル。フローレンスとイザベラ・マシーン・サマーズを中心に現在は7人で活動するバンドは、2009年にアルバム『Lungs』でデビュー。本国UKでは初登場から5週連続2位を記録、2010年1月になると再浮上して2週連続1位を記録する大ヒット&ロングヒット。アメリカでも100万枚の売上を超えた本作は全世界では300万枚以上を売上げる大ヒットを記録し、Brit Awardではアルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞した。恋人との別離にインスパイアされたという、2011年のアルバム『Ceremonials』も全英1位を記録し、Q Magazineの年間ベストアルバムでは1位に選出された。そんなバンドのフロントで歌う彼女は、紛れもなく世界一インディ・ロックシーンで輝く女性なのだ。
 ライブパフォーマンスにも定評ある彼女だが、2009年に出演したオーストラリアのフェス、Splendour In The Glassではデビューしたばかりの海外公演ながら30,000人の観客を集め3日間のフェスで一番の盛り上がりだったという。そんなフローレンスも今ではフェスのメインステージのトリ前の位置を任せられるほどだ。ケイト・ブッシュやビョークなどとも比較される(他に彼女はグレース・スリックを自身のヒーローとして挙げている)彼女のパフォーマンスは独特で、優雅な服装で静かにかつロマンティックに歌う時もあれば、ステージ中を走り回る時もある。ルネサンスの芸術家にも影響されたという世界観が音楽からステージ、フローレンスというアイコン、全てを形作っているようである。2015年にはサード・アルバムのリリースもありそうなので、彼女の今後の活躍と二度目の来日を期待しよう。自作のあとのツアーではヘッドライナーとしてフェスに出てくることも期待できそうだ。

    

『女子が憧れるインディアイコン』になりつつある?〜10年代インディシーンを盛り上げる女性アーティスト10組〜【1】

  • 2014.08.07 Thursday
  • 16:30
 久々の企画です。
 今回は(正直10年代というと大げさに聞こえるかもしれないピックアップですね)、「ここ数年のインディまたはインディ・ロックシーンを盛り上げているのは女子ばかりではないか。男よしっかりしようぜ」ということで、10年代のシーンを盛り上げている女性アーティストを10組選出、リストにしました。
 
 もちろん年間ベストなんかを見れば、数では若手男性アーティストの作品の方が目立つことは目立つのですが、そうしたアーティストの作品がどれだけ大衆に影響力を与えられているかというと正直、キビシイものもあると思います。英米には、数々のそうしたリストを作るインターネット音楽メディアがありますが、そうしたメディアを、普段受動的に音楽に接している、ごくごく一般的なリスナーがチェックしているかといえばそんなことはないでしょうし。こうしたメディアは音楽マニアでもなければ頻繁にチェックしていたりはしません。また、ここ数年の中で、こうしたインターネットメディアが年間ベストなどで大々的に取り上げた作品が、メインストリームでの成功にも繋がったという例も多くはないでしょう。やはりインディ界隈のみならず、ロックをもっと大衆に身近なものにして、一般的な人にも訴えかけられるアーティストというと、ここ数年はやはり限られた数になってしまっていると思います。(ロックやインディってちょっと苦戦していますよね。)そして、その限られた数のほとんどが女性であるように思えます。
 もちろん素晴らしい作品を作るのも重要ですが、ストイックになり過ぎて、リスナーへのアピール、「見せ方」を怠っていないか野郎共!結局フェスに出て、大きなステージを任せられるのは、華のあるスター性のあるアーティストなのです。そうしたアーティストこそがシーンを引っ張って、若い人たちに影響力を与えているのです。
 
 ロックというとやはりこれまで男性優位のジャンルであったようにも思えるかもしれないです。リスナーに女子がいても、割合としては圧倒的に男子。もちろんそれは実際にプレイしている人が男性ばかり目立っていたからでしょう。これからピックアップする10組の女性アーティストは、いい意味で「女子でも憧れることが出来るインディミュージシャン」になり、女子とインディへの距離感を埋めてくれていると思います。いまのシーンを見ていると、男子が憧れのまなざしで見れる若めのバンドというと、アークティック・モンキーズかブラック・キーズ(ベテランだけど本格ブレイクしてからまだ5年も経っていないという意味で)くらいで、ここに新人の1975とかを加えられるくらいではないでしょうか。今時、インディ好きの人が友達にも自分の趣味を広めようとするならそれはもう男子に広めるより、女子に広める方が楽かもしれないです。それはもちろんシーンに男子が憧れる人より、女子が憧れる人の方が多いから。彼女たちは素晴らしい音楽を発表するだけでなく、ファッション、ステージ上での佇まい、オーラ、メディアでの露出など見せ方が凄く上手いなあと思いますね。
 ということで今回はそんな役割を果たしつつある女性たちをピックアップ。改めてシーンの構図を把握してみましょう。3年後くらいにはフェスのメインの位置で、ここで紹介した女性が多く活躍しているかも?


 1回目の今回は10位→6位です。

『女子が憧れるインディアイコン』になりつつある?
〜10年代インディシーンを盛り上げる女性アーティスト10組〜【1】





10. Savages 【サヴェージズ】



 2012年末、UKでパーマ・ヴァイオレッツと共にツアーをしていた4人組ポストパンクバンドは、一見地味ながらもハイムと共に2013年にデビューした新人バンドの中で一番の評価を得る作品をリリースする。それが『Silence Yourself』だ(NME5位、Pitchfork6位など)。ダークな佇まいで、彼女たちに派手さこそはないものの、全身黒で統一し堂々と圧巻の演奏をするライブからは、「見せ方」の上手さ、カリスマ性が伺える。僕も昨年のフジロックで見たのだが、演奏がとにかくウマい!リズム隊の安定感に、特徴的な歌唱法のジェニーのボーカル。文句なし。次のアルバムが出たら今度はもっと売り上げが追い付いてきそうな気がしますし、将来が楽しみなバンドだ。

    


9. Sky Ferreira 【スカイ・フェレイラ】

     

 ファーストアルバムのこのジャケットだけでもインパクト大だが、モデルや女優もこなし、ファッション界からのラブコールも止まない彼女。中学生の頃から自作の曲をmyspaceにアップ、17歳の時にはパーロフォンと契約し、初のシングルをリリース(こちら、まだ幼さもあってかわいい)。2011年に「Sex Rules」がカルヴァン・クラインのCMにタイアップされたのを機に、ファッション界の人気者へともなり、数々の有名雑誌に登場し、フォーエヴァー21のキャンペーンガールもこなした。音楽では自分の味わう孤独や虚無感を赤裸々に綴り、共感も得る。過激なMVを作り時に反発を浴びたりしながらも、そうした批判にはしっかり反論(こちら)。またネットを通した自分への性的暴言にもしっかり声明を発表(こちら)。そんな、強く、言いたいことをしっかり言える姿勢も、強い支持を受ける要因の一つだろう。
 昨年のファーストアルバムの方は、売上こそ最高位全米45位だったものの、Metacriticでは79点を獲得、さらに年間ベストレースではFact Magazineが2位、Stereogumが6位、Pitchfork15位などインディメディアからも大絶賛であった。
 時にラナ・デル・レイやロードとも比較される彼女がどんなアーティストかといえば、「マイリー・サイラスのツアーに前座として同行し、モデル業や女優業もこなす傍ら、音楽性はインディからの影響も強く、インディ系のメディアから高評価を得るようなもの」。そんなメインストリーム側からもインディ側からも取っつきやすいアーティストである。

    

8. Tegan & Sara 【ティーガン&サラ】
 

 
 カナダのカルガリー出身の双子のクイン姉妹から成るティーガン&サラは、キャリアは他のアーティストと比べれば長めだが(
99年にファーストアルバムを出している)、日本ではその知名度はまだまだかもしれない。地道な活動の末、2007年辺りからは本国カナダでアルバムが連続で2位に登場し、徐々に人気を伸ばしていたが、昨年発表したアルバム『Heartthrob』は見事に全米3位、本国カナダでは最高位の2位を記録する大ヒット。何よりもアルバムからのシングル「Closer」がアンセム級のヒットを記録。今年に入ってからはその「Closer」と同じ方向性の楽曲「Everything Is Awesome」(Saturday Night Live出身のコメディ・ラップグループ、アンディ・サンバーグ率いるロンリー・アイランドとの共演)がThe Lego Movie(あのおもちゃのレゴの映画版です)のサウンドトラックに起用しヒット、一躍人気者になりつつある。前作までは、インディ・フォーク、ニューウェーヴなどの影響が強めのサウンドに、何とも陰鬱な雰囲気を合わせた作風だったものの、最新作ではそれがはじけて影の無い明るいエレポップに。いい意味での方向転換ですね。最新作で完全な世界的ブレイクとなりつつあり、今後の活躍も目が離せない。

    

7. Haim 【ハイム】



 Savagesと同じく2013年の新人バンドの中で一番の輝きを放っていたハイム。2012年秋頃から「Forever」が各メディアで取り上げられると、2013年のBBC Sound of…のリストでは堂々1位。この3姉妹の魅力は、お茶目でかわいらしいルックスとは対称的な、演奏力(これはSavages同様)と楽曲センスの高さだ。幼いころから家族でバンドをしていたことで身についたテクニック、フリートウッド・マックからTLC、デスティニーズ・チャイルドなどロックからポップまで幅広い影響源を基にしたポップセンス、この二つが見事に相まってハイム独自のサウンドとなっている。ファーストアルバム『Day Are Gone』は全英1位、全豪2位、全米6位と新人バンドとしては見事すぎる売り上げを記録し、その後もロングヒットを続けている。2014年にはNME AwardsでBest International Bandを受賞、欧米のフェスサーキットでの活躍も目立つ彼女たちの将来は、バスティルのダンが1975と共に将来のヘッドライナー候補とするほど有望だ。
 
    

6. Grimes 【グライムス】



 本名はクレア・バウチャー。1988年生まれのバンクーヴァー出身の26歳だ。宅録で作り始めた作品が話題を呼び、4ADと契約。3枚目のアルバム『Genesis』で世界的な知名度を獲得する(年間ベストではなんとGorilla vs Bearで1位の他NME, Guardian, DIYで2位、Clashで5位、Pitchforkで6位の大絶賛だ)。もちろんこの写真でも何となくわかる通り、そのかわいく、オシャレ、アートなルックスも人気の一つだ。アートといえば、彼女はアートワークからビデオまで自分で監督を手掛ける。2013年12月にはあのJay Zが主宰するレーベル、ロックネイションとも契約した(もちろん4ADとの契約も継続中)。彼女の影響源はTLC、クリスティーナ・アギレラなどのメインストリームのR&B、ラナ・デル・レイ、そして、マリリン・マンソン、ナイン・インチ・ネイルズなどインダストリアルまで幅広い。2013年にはWebby AwardでArtist Of The Yearを受賞。 
 いい意味で新たな「女性像」を作っているようにも思えるが彼女は以前Hard To Explainのインタビューでこう語っている。
      「私はジェンダーを定義する事が本当に好きじゃないの。それは概念だから。
      生物学上に男女に違いはあっても「女の子」という概念は道徳的なものでしょ。……
      男とか女とかその間にいる人たちとかは問わず、自分のやりたいことをやってる人がカッコイイと思う。」

        


 

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