The New Wave of GRIME 〜グライム/UKヒップホップで2015年起きたことと台頭する新世代のMCを知る (1)

  • 2015.12.02 Wednesday
  • 12:05


いきなりだがこちらのポスターを見てほしい。そう、これは毎年NMEが期待の若手バンドたちを帯同しUK中をツアーするその名も「NME Awards Tour」の2016年版のポスターである。キラーズ、アークティック・モンキーズ、フローレンス&ザ・マシーンなど世界を代表するアリーナ・バンドたちもデビュー前に参加したこの登竜門的なツアーのラインナップも今回はいつもと少し違う。未契約前のグライムMC、その名もBugzy Malone(バグジー・マローン)がラインナップに含まれているのだ。半世紀にわたってUKのロックシーンを盛り上げてきたNMEが選んだ「次の顔」の一組はグライムMCだ。

「最近はどんなロック・ミュージックよりもグライムやヒップホップの方を多く聞いてるんじゃないかな。今のUKではグライム・シーンが本当に本当にエキサイティングだと思うな。若い才能が出てきていて、 “新しい音楽が生まれて、そこに人が集まっている” って感じがあるよ。」−これは今年サマーソニックで来日したUKの新人バンド、スレイブスに筆者がインタビューした際の言葉だ。彼らが今年グライムMC、スケプタと共演していたために「是非とも」と思ってこんな話題を振ったのだが、ここまでの熱を帯びてハマっているとはさすがに予想外であった。

現地ではロック界隈からも熱視線を浴びている現在のUKのグライム、そしてより広く、ヒップホップのシーンとはどのようなものなのだろうか?

 

そもそもグライムって何!?という人もいるかもしれない。ここでは「どんなジャンルか」という音楽的な解説をじっくりすることは避けさせていただくが、その特徴をシンプルに述べるなら、ガラージ、ドラムンベース、2ステップ、レゲエなど多様な要素が組み合わさったBPM140前後のビートに高速ラップを乗せたもの。それは英国が産んだパンク以来のDIYな音楽ジャンルとして革新的でもあった。2002年辺りからジャンルの創始者Wileyに始まり、Dizzee Rascal、Kano、Lethal Bizzle(リーサル・ビズル)など多くのMCが台頭し始めたが、その一方で “アワード” や “チャート”、 “メジャー・レーベル”といったメインストリームな舞台での評価は十分に得られず、更には暴力との結びつきというイメージからかレイヴが警察に封じ込められてしまうことさえ頻繁で、「商業的」「グローバル」という面では決して成功したジャンルとはいい切れないのも事実。2008年ごろになると、当時火をつけ始めたばかりであったEDMとも結びつき、グライムを含めブリティッシュ・ヒップホップがチャートを賑すこと自体珍しくはなくなったものの、そうすることで皮肉にもグライムはそのアイデンティティを失ってしまっていた。
 

そんな時期を経てグライムが2013年あたりから徐々に息を吹き返し始め、いくつかのメディアで“Second Coming of Grime” あるいは “Grime 2.0” なんて言葉も使われながら話題になりだした。もちろん最初は、「これはリアル?フェイク?」なんていう見方も少なくはなく、筆者も半信半疑でこの動きを見ていた一人であったが、今年2015年は、「コレはホンモノだ!」と確信させる決定的な出来事が多数起きたのと共に、多感な思春期をまさに "創世記" のころのグライムと共に過ごし成長した新世代のMC陣が確実に実力を示してきた。高校時代、グライムというジャンルを発見しそのUSヒップホップとは全く異なった面白さに夢中になっていた筆者は興奮を隠せずにはいられないのだ。

ということで、今回は『The New Wave of GRIME』と題し、「 "NEW WAVE"がリアルであることを証明する2015年の10の出来事」と、「いま知るべきグライム/UKヒップホップ新世代10アクト」の2回に分けていまのグライム、UKヒップホップについて取り上げる。もちろん「いまグライムがまた盛り上がっている」という記述は何度も日本のメディアでも見かけているが、「じゃあ何が起きてたっけ?誰から手を付ければいいの?」という点に関してまとめられている記事は見かけなかった。大袈裟な期待かもしれないが、これが2016年に更に大きな動きを見せてくれるであろうこのシーンについて知るための一つのガイドとなれば幸いだ。

(2)"NEW WAVE"がリアルであることを証明する2015年の10の出来事-
(3)"NEW WAVE"がリアルであることを証明する2015年の10の出来事-
⇒いま知るべきグライム/UKヒップホップ新世代10アクト(近日公開)

 
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