Drenge 「Drenge」
Hostess Entertainment / 2013
9.0 / 10.0
UKシェフィールドに近い田舎町から現れた兄弟による、ギター・ボーカルとドラムの2人組ドレンジのサウンドは「NirvanaミーツQueens Of The Stone Age」と形容したくなるようなものだ。彼らの曲をいざ一聴してみると、ブラック・キーズを連想する人もいるかもしれない。自分もその一人であった。だが、真似事をしているような、そんな甘いバンドではないのは、アルバムフルの曲と、ライブパフォーマンスで証明される。活況を取り戻しつつある雰囲気を持つ昨今のUKインディ・ロックシーンで、ギターロックで、リフを持っていて、演奏も迫力あるとなれば、希望を持つことが出来るだろう。このデンマーク語で‘男’を意味する‘Drenge’のアルバムは既にドロップされているが、結果的にはチャートでは好成績は出すことが出来なかった。しかし、その意味通り男臭さが最高であり、君を裏切りはしない、今後も大いに注目だ。
最初にNirvanaを引き合いに出したが、そこにはブラック・キーズのような2人組が持っていないような、速いBPMによるスリリングなサウンドが挙げられる。手数の多めなドラムに、ぴったり息を合わせたギターリフが秀逸だ。その例として挙げるのならばリード・シングルの「Bloodsports」の後半部分だ。さらにそのギターは切り裂くようにキレがいい。彼らの曲「Face Like A Skull」はNirvanaの「About A Girl」や「Breed」の持つ迫力を連想させる。そして、全体に響き渡るQOSTAのような倍音の厚いギターはストーナーロックに近いものさえ思わせる。9曲の勢いあるガレージ・パンクが終わった後は、BPMを落とし、歌もしっかり聴かせる最終章の3曲だ。「Let’s Pretend」は8分超のバラードで、続くラストの「Fuckabout」はギターのトーンも落とし、「恋に陥った人々は僕をただうんざりさせ、参らせるよ」とエモーショナルに溜息づく。アルバム全体から浮かび上がる彼らの、退屈な田舎暮らしから来る怒りやフラストレーション、それを余りなく注ぎ込んだ作品なのだろう。
結果、この2人組ドレンジのアルバムは、これまでのロックデュオとは違った、彼ら自身の魅力をしっかりと示した。他にもDeep Valleyや‘BBC Sound of’にも選出されたRoyal Bloodなどが若手2人組ロックデュオとして挙げられるが、彼らはそれぞれ違った個性をしっかりと映し出している。Drengeを含めた昨今のロックデュオの持つ‘ホープ’は、2人組のもつ可能性を拡げ、リスナーに示しているのではないか。もはや、君がジャック・ホワイトでなくとも、もう一人の友達さえいれば、人々を熱くさせるビートは打ち出せるのだ。